2015年09月10日更新
オシャレな輸入壁紙が危ない!?人気の裏側に隠された事実とは?
今人気の輸入壁紙。その手軽さやオシャレさが話題になっている一方で、きちんとした知識のもと、しっかりと選んで貼らないと最悪、健康被害をもたらす悲惨な状態になるという事実を知っていますか?
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オシャレな輸入壁紙、手軽さの影に隠された問題
写真:株式会社ジュブリー
代表取締役 笹川 亜由菜さん女子でも簡単に貼れてお部屋のコーデができる『貼って剥がせる壁紙』。
可愛いとか是非やってみたいという反響がある中で、「でも良いことばかりじゃないんです」と語るのは前回、貼って剥がせる壁紙の記事(http://emmastyle.jp/articles/detail/426)でインタビューさせていただいた『壁紙革命』を運営する株式会社ジュブリーの代表取締役である笹川さん。
「手軽で可愛い壁紙もきちんとした知識のもと、しっかりと選んで貼らないと最悪、健康被害をもたらす悲惨な状態になるという事実を知って欲しい」そんな笹川さんの願いのもと、今回の続編に至りました。
この記事を一人でも多くの方に読んでいただきたい、そんな思いのもとお送りします。 -
シックハウス症候群とフォースターマーク
今日ではマスコミにも取り上げられて、身近なものになっているシックハウス症候群という言葉。
この「シックハウス症候群」とは「室内の空気が汚染されることによって引き起こされる様々な健康障害の総称」と定義されています。(引用:シックハウス診断士協会)
シックハウス症候群の主な原因とされているVOC(揮発性有機化合物)の一つに、ホルムアルデヒドという化学物質があり、建築基準法ではホルムアルデヒドを放散する建材の使用を面積で制限しています。
「フォースターマーク」とはホルムアルデヒド等級の最上位規格を示すもので、ホルムアルデヒドの発散量から国土交通大臣またはJIS(日本工業標準調査会)が使用面積に制限なしに使用できると認定した製品に与えられるマークとなっています。
このように厳しい規制が敷かれているホルムアルデヒドですが、実は今人気の輸入壁紙はこれらの規制をすり抜けてしまっている状態なのだそうです。 -
人気とともに増えている輸入壁紙の業者の実態
―今輸入壁紙の現状はどうなっているんですか?
最近は壁紙を販売する業者も増えて、輸入壁紙を自分たちで輸入して販売しているところもあります。
でも、不織布の壁紙ってどうしてもホルムアルデヒド(以下、ホルム)が出てしまうんですね。
ホルムを単なるシックハウス症候群の原因物質の一つと勘違いしている業者が多いのですが、それはまったくの間違いです。
ホルムは他の化学物質とは違い、WHOの外部機関である国際がん研究機関により発がん性があると警告されている物質です。
ですからホルムには、建築基準法で厳しい規制があるんです。
その規制値を超えるものは貼っちゃいけませんよっていう法律があって、職人さんや家を建てる人はフォースターっていう安全・安心のマークっていうのが認定されてる建材しか使っちゃいけないんです。壁紙も床もペンキも全部。
だけど、自分たちで勝手に輸入したものだから、もちろんそんな認定も取ってないですし、そういう数値すら測っていなかったり、規制値を超えているのを知ってて隠蔽して売っているんですね。
貼っちゃいけないよって法律はあるんですけど、売っちゃいけないよっていう法律はないので、DIYとしてやるには、購入する側の自由でしょって事なんですよ。
―“貼ってはいけない壁紙”を“売ってはいけない”という法律はないんですかね?
もともと日本で作られてる壁紙ってフォースター取れない壁紙なんて作らないのが当たり前だったんですよ。
だから、そういうのを売っちゃいけませんよっていう法律がなかったのが当たり前なんですよね。
だけど、輸入壁紙だと話は違ってきちゃうので。
今まで輸入壁紙をきちんと扱ってきた人たちは、ちゃんとフォースターを取得してから売るっていうのが当たり前にあったんですよ。
なんですけど、それをすっとばしてやっている業者もあるんです。
要するに、だれでも壁紙屋さんになれてしまうんですよね。
やるのが当たり前な事をやってないのが現状です。
さらに販売方法も「もしかしたら法律的に貼れない可能性があるので職人さんに聞いて下さい」「業者に確認してください」っていうあいまいな言い方で販売してるんですね。
なのでもし職人さんにこれ貼りたいんだけどって言っても、数値が分からないと貼れませんって断わられるはずなんです。
でも、貼って剥せる、自分たちで出来るって謳い文句で販売している壁紙は、簡単に手に入るし自分で貼れてしまうんです。 -
規制値を超えた壁紙が散乱している現状
―法律の規制を超える壁紙もゴロゴロ出回ってしまっているってことですか?
今私達が数値を把握してる中でも、日本の規制の4倍ぐらいの数値が出ている壁紙を平気で扱っている業者もあるんですよ。
4倍出てるって事は床面積に対して1/3までしか壁紙を貼っちゃいけないんですね、日本の法律だと。
だけど、みんなは知らないので全面に貼っちゃったりするんですよね。
そんな所にいたら、具合悪くなっちゃうぐらい危ないんですよね、本当は。
なのに、それを普通にポンポン売ってるっていう現状があるんですよ。
ホントそこら中に貼られてる壁紙で人気の商品ですらフォースターが未取得だったりしているんです。
―あ!ホントだ!未取得って書いてある!しかも小さく…。(上記の画像参照↑)
今、流行りだしテレビでも沢山取り上げられてますけど、みなさん壁紙の知識がないので祭り上げちゃうじゃないですか…
大手百貨店でもそういう商品を売ってたりしますし。
私、実はその百貨店に一般人のフリして聞きに行ったんですね!笑
「これってホルムどれくらいでてるんですか~?」って。
そしたら、店員さんは「ワカリマセン」って。
「わからないのモノを売っても大丈夫なんですか~?」って聞いたら、
「いや、この業者さんは日本にも何店舗もあるんで安心です」って店員が言ったんです!!
こりゃいかん!!!!!って。笑
―沢山売ってるから安心っていう理屈が分からないですね…。それに百貨店だったら安心だって思いますよね、普通。
そうなんです。そういうものが今普通に売られてる状況なんです。
でも、もうどうしようも出来ない状況で。
結局何も縛れるものがないから、「もしかしたら、貼れないものかもしれませんよー」っていうあいまいな書き方でもOKになってしまっているんです…。 -
きちんと見極めて購入を!
―でも、全ての壁紙が危険だってことじゃないんですよね!?
もちろん、きちんとしたモノも沢山あります。
売る側がちゃんと見極め方をユーザーに伝えるべきだと思うんです。
フォースターを取れてるものがもちろん安全だし、ホルムの数値っていうのが一番大切だから、それがちゃんと表記されていないものは、確認して欲しい。
それが0.2以下の数値であれば安全ってのを一般の方にももっと分かってほしいんです。
―ホルムの数値は0.2以下じゃないとダメなんですか?
ダメって事はないんですけど、例えば0.8あったとしても、「この壁紙は0.8あります。安心して貼れる面積は床面積に対して1/3以下なら大丈夫です。それ以上貼ってしまうともしかすると健康に害があるかもしれません」ってそこまできちんと言うべきだと思うんです。
―一般の人がその数値を測る事は難しい?
そうなんです。ちゃんとした検査機関に出さないといけないので。
今までは売る側が数値を表記する、もしくはフォースターのマークを付けるっていうのが当たり前だったんですけど、私達みたいな新しい事をしてる人達が、「売れれば関係ない」みたいな感じでやっちゃってる感じなんです。
弊社が取り扱ってる商品は、そこはしっかり守ってる!っていうのを強く言いたいですね!笑
―お子さんのいるお家だったら怖いですよね。
いや本当に怖い事だと思いますよ。
フォースターの認定を取るには、お金も時間もかかってしまうんですね。
輸入壁紙に関しては、弊社は全部マークが取れてるのしか取り扱いません!って決めていますし、オリジナルの商品のものは、今認定取得中で今年中にはフォースターマークが全部とれるんです。
なので、現状では数値のみはしっかり表示させて頂いてる状態ですね。
フォースターはまだ下りていないけど、数値は安心の数値を表示しているんです。
弊社の輸入してる商品は、全部安心といってもらって問題ないと思います。
ただ、他社で販売している輸入商品は危ないのがあるって事ですね。 -
「フォースターを取れないものは売らない!」スタンスを貫く『壁紙革命』
―一部の危ない壁紙のせいで全部が危ないってなるのはイヤですよね。
イヤ、ほんっっとうにそうですよ。
それこそ、輸入壁紙=危ないってなっちゃうと、今までちゃんとやってきた人たちまでダメになってしまうんで、それだけは絶対に避けたいので、どうにかこの状態を皆様に知ってもらいたいと思ってるんです。
―今さらなんですけど、このインタビューで笹川さんの顔出しはOKなんですか?
全然いいです!!弊社は自信持って壁紙販売してますし!
本当に気を付けてほしいんで!!
ちゃんとした知識を皆さんに伝えられれば嬉しいですね。
「素人が壁紙をいじるのは危ない!」じゃなくて、「きちんと知って楽しく壁紙をいじって欲しい」って言うのを伝えたいですね。
そして、販売者はちゃんと表記すべきだと思うんですよね。お酒とかたばこみたいに。
お酒だって、これは○○度!ってすごいアルコール度数が高かったら、飲むかどうかを自分で判断できるじゃないですか。
壁紙も一緒で、0.8だよってしっかり言って下さいって思うんですよね。それで選ぶ人が自分で判断すればいい訳だし。
分からないように言葉巧みに販売するから、おかしいんですよ。
「海外の○○は取れてます」とか、絶対認可のおりない数値なのに「フォースター取得中です」とか!
そんなの、取得中ですって書かれちゃったら、取れるんだなって思っちゃうじゃないですか!大きな間違いなのに。
今流行りなのもあって、僕たちにも売らせて下さいって人が沢山出てきてるので、規制値を満たしていない商品を売ってる所が全国でどんどん増えてきちゃってるんですよね。
世界中には何万種類っていう壁紙があって、オシャレなのもたっくさんあって、私も取り扱いたい物は沢山あるんですけど、フォースターを取れないものに関しては売らない!っていうスタンスでこれからもやっていきます! -
輸入壁紙の未来のために…
全ての壁紙業者が笹川さんのようなスタンスであれば、安心して買う事ができるのに、そうでない現状はとても残念なことだと思います。
せっかく流行り始めた壁紙の文化をもっと広めていくためにも、業者の方は今一度、販売の仕方を考え直して頂きたいし、消費者側もきちんと見極めて素敵な壁紙コーデを楽しんで頂きたいとemma編集部は願います。
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『壁紙革命~賃貸でもおしゃれに~』
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